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メジャーデビューから一年、一回り認知度の上がった半崎美子の「明日への序奏」コンサートツアー2018〜春、全国四都市開催はいずれもソールドアウト。その初日、Zepp
Sapporoに期待を膨らませて足を運んだ。17年の下積み生活、あるいはそれ以前からの彼女を知る地元開催とあって、ひと際こもる熱気も熱い。ざわめきがおさまらない会場の照明が落ちると、歓声に迎えられながら一曲目の「空の青」で滑り出す。すると一瞬にしてその清冽な歌声が会場の空気を変えてしまった。柔らかく、穏やかな澄んだ声の底に、一本芯の通った力強さ、包み込んでくれる懐の深さを感じる。続いて「夏の夢」そして「お弁当ばこのうた~あなたへの手紙〜」「ぼくはぞうきん」と初めは息を詰め、見守るように聞き入る観客が、曲が進むにつれ彼女の歌の世界に入り込んでいく。
興奮と嬉しさを隠せないMCもどこか微笑ましく、未来への希望や母への感謝の気持ちを歌ったり、ラテンのリズムで「天国3丁目」に乗せてバンドメンバーを紹介したりしたあとツアータイトルにもある「明日への序奏」を披露。続いて情感たっぷりに「サクラ〜卒業できなかった君へ〜」そして「鮮やかな前途」でステージを締めくくった。
いつも思うのは彼女の歌の包容力だ。メジャーデビュー以前から彼女を応援してきた身内や友人知人、ショッピングモールでのライブに足を運んで来たファン、それらの人々が祈るように見守るステージ。歌う本人は誰より聴き手の心に寄り添う歌い手なのだから、そこに生まれ、通いあう温かな空気にいつしか見守っていたはずの観客はひきこまれ、逆にすっぽりと包み込まれてしまう。そして癒されたり励まされたりする。それが彼女の歌の力だ。
この日彼女はツアー初日に、明日への序奏も助走も序章も感じられるステージを作り上げ、確かに一回り成長した姿を見せた。泣かずに頑張って明るくステージを務めた彼女が、最後のアンコールでこらえきれずに涙を見せた時、会場が一つになって大きな拍手を贈った。メジャーで頑張る彼女へのエールだとでも言うように。
この4月からは地元HBCラジオで「ハンザキラジオ」(毎週日曜10:00〜10:30)のレギュラーも始まり、新たなファン層獲得が期待できる。また、11月8日には、東京国際フォーラムAホールでのコンサートも決定している。変わらぬ声で、変わらぬ心で、けれど歌い手としては一回りも二回りも大きく成長して、次に札幌へ帰って来るときにはどれだけ大きなステージを務めるのか、今から楽しみである。
半崎美子のwebサイトはこちらから
(音楽ジャーナリスト 内記 章)
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