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今年で第18回目となるRISING
SUN ROCK FESTIBAL 2016 in EZOが石狩、小樽両市にまたがる石狩湾新港樽川埠頭横の特設会場で開催された。日本の4大野外ロックフェスの一つに数えられるまで成長した同イベントは、晴天に恵まれた8月12日、13日の二日間、延べ6万5千人を超える観客を前に、100組近いアーティストの熱い競演が繰り広げられるという、まさに絶好の夏フェスとなった。
今年は常連組、新進気鋭のアーティストに加え、演歌の八代亜紀やフォークの松山千春の参戦、そして病気療養中だった大黒摩季の復活ライブなど、早くから話題を呼んでいたステージもあり、スタート前から盛り上がりが予想された。
初日のSUN
STAGEはONE OK ROCKが口火を切った。メンバーが登場すると怒号のように歓声が渦巻く。ボーカルのTakaが煽ると会場はヒート・アップ。2年ぶりのRISINGだが、今回は火付け役という位置づけか、聞かせる、楽しませるを存分に心得た選曲もしかり。ラストの「完全感覚Dreamer」で観客の興奮はピークに達した。
人気、実力とも群を抜く彼らがトップバッターに立ったことで、このフェスの成功が約束されたかのような熱さと活きの良さだった。
今回話題の八代亜紀は暮れかかる頃RAIBOW SHANGRI-LAに登場。バンドのブルージーなセッションに続いて真っ赤なドレスの八代が登場すると会場がどよめく。最新作のブルースアルバムからの曲を中心としたセットリストながら、“ご当地ソング”と称して「石狩挽歌」や「暑いから雨雨ふれふれしちゃう?」と「雨の慕情」、そして「やっぱりぬるめの燗よね」と「舟唄」も披露し、会場からあふれたオーディエンスも大合唱。さすがのオーラを見せつけた。
夜に入って初日SUN STAGEのトリを務める電気グルーヴのステージにはKenKenが登場。客席を大いに沸かせていたが、毎回神出鬼没というかいつ何処に登場してもおかしくないくらい、おなじみの嬉しい光景になって来た。
深夜に入りRED
STAR FIELDでは布袋寅泰が登場。キル・ビルのテーマのイントロから会場は騒然。BOOWYやCOMPLEXのヒット・ナンバーも矢継ぎ早に繰り出し、テンションはぐんぐん上昇。布袋のパフォーマンスに合わせ、流星群が空をよぎるという巧まざる演出も。持ってる男は違う、と感じさせる一瞬でもあった。
同じくキャンパーズのみが楽しめる深夜のFRIDAY
NIGHT SESSIONは真心ブラザーズがホストとなり石狩フォーク村 夏祭りを繰り広げる。吉田拓郎、かまやつひろしの「シンシア」や高田渡の「自転車に乗って」。中島みゆきの「ファイト」やローリング・ストーンズ、ニール・ヤング、ボブ・ディランのナンバーも披露され、最後は全員で真心ブラザーズの「空にまいあがれ」を大合唱した。
二日目も好天。この日は人気上昇中の水曜日のカンパネラがRED
STAR FIELD の口火を切る。個性的なパフォーマンスに会場は大盛り上がり。バルーンも牧草ロールでエンディングもRISING初ではないだろうか。
続いて6年ぶりに復帰を果たす大黒摩季の姿を見届けようと、大勢の観客が早くからRED STAR FIELDに詰めかける。「ただいまー!」とステージに登場した大黒摩季は「熱くなれ〜album
version〜」からオーディエンスの「おかえり―」の声と大合唱に迎えられる。「さあ皆さん、一緒におさらいしましょう」とヒット曲を次々披露する姿は6年ぶりとは思えないほど充実感にあふれている。病気療養中を振り返って「もう何回も歌えなくなるかもと思って」と涙ぐむ一場面もあったが、小樽市の菁園(せいえん)中学校の生徒たちと「ら・ら・ら」を大合唱すると、最後は「また東京に戦いに行ってきます。」と新曲の「Higher↑↑Higher↑↑」で力強く締めくくり、見事な復帰を印象付けた。
もう一人の話題、松山千春は暮れなずむSUN STAGE「夢の旅人」でスタート。「俺フォーク・シンガーだぜ。」とか「お盆に坊主はつきものか」などと独特のMCで沸かせながら「長い夜」「ひまわり」「季節の中で」と聞きいるロッカー達の間にひたひたと満ちてくるものがある。「またどこかの街出会えたら」と「大空と大地の中で」を歌い去っていく千春にアンコールの拍手が鳴りやまない。再び登場して「北海道の土産に」と「大いなる愛よ夢よ」を歌ってくれた。この広い石狩の地だからこそ沁み渡る感動がそこには生まれていた。
夜になって花火の後は宴会部長 増子直純のしきりで1966年生まれのアーティストが大集合。よりぬきROOT66 in
EZOがスタートする。大槻ケンヂ、斎藤和義、渡部美里、スガシカオらが夜のヒットスタジオよろしく相手の持ち歌を歌って紹介。「銃爪」「My
Revolution」「ロックンロールウィドウ」と昭和の名曲を入れ替わり立ち替わり歌い継ぎ、最後は全員で「勝手にしやがれ」「YOUNG
MAN」「北酒場」の大合唱という、50歳の見事なはしゃぎっぷり。まさにお祭り騒ぎのステージで大いに楽しませてもらった。
ここからは朝まで一気にゲスの極み乙女、9mm Parabellum Bullet、四星球らが夜の底をさらうようなパフォーマンスを展開し、オオトリはBRAHMAN。「Kamyーpirma」「満月の夕」を披露した後ぶっ通しでプレイし続け、客席に飛び込むシーンも。そして「代わりになれないけど」と言いながらbloodthirsty
butchersの「散文とブルース」をやってくれるという感動的シーンがあり、最後は朝日と共に「THE
ONLY WAY」で締めくくった。
空の祝福を受けた今年のフェスは、ロックも演歌もフォークも、ジャンルにとらわれずただ純粋に音楽を楽しむこと、それぞれがそれぞれの楽しみ方でフェスに参戦するという、最もシンプルでかつフェスの本質をついている、夏フェスの王道を行く2日間だった。受け継がれていくものの大切さ、それを知る喜びと19回目への期待を胸に会場を後にした。
<RSR2016入場者数:主催者発表>
8/12(金) 33,748人
8/13(土) 32,177人
TOTAL 65,925人
(音楽ジャーナリスト 内記 章)
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