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2013年11月6日札幌共済ホールにて第4回玉光堂演歌まつりが行われた。玉光堂が毎年行う同まつり、今年の出演は、小金沢昇司(1988年デビュー、25週年のベテラン)、竹島宏(2002年デビュー)、走裕介(2009年デビュー北海道網走出身船)、 三山ひろし(2009年デビュー)、 紅一点 杜このみ(今年の演歌界期待の新人、札幌出身の24歳)の5組。
STVラジオでお馴染、喜瀬ひろしの軽妙な司会で幕を開け、ゲスト5人の紹介をかねて竹島、走、杜、三山、小金沢の順で各々が一曲ずつ歌い、待ちかねた観客の喝さいを浴びた。それぞれが登場するごとにファンから飛ぶ声援も5者様々。早くも横断幕やペンライトを手に、熱の入った応援を始めるグループもそこかしこに見られる。
そしていよいよ一人ずつのコーナーが始まり、トップバッターは札幌出身杜このみ。紅一点の華やかさといい、新人らしい初々しさといい、彼女が出てくるだけでステージがぱっと明るくなる。民謡で鍛えた喉で三橋美智也の「達者でナ」とデビュー曲「三味線わたり鳥」を堂々と歌い上げた。
続いて三山ひろしが司会の喜瀬が入り込むすきのないほど達者なトークで客席を大いに沸かせた後、「女に生まれて」「かあさんの詩」「男のうそ」の3曲を披露。
次に地元北海道出身の走裕介が登場するとすかさず「裕介!」の声がかかる。デビュー5年目を迎え、ますますみがきのかかった歌唱で「呼人駅」「おんなの雪」「北国街道・日本海」を情感豊かに聞かせた。
竹島宏は衣装を縞のジャケットからスパンコールをちりばめたきらびやかなものに着替えて「花水木」「紫の月」「うたかたの風」を歌い、イケメンスリーの一角を担うビジュアルを堪能させてくれた後、北海道が舞台の新曲「北旅愁」を披露してファンのハートをがっちりつかんでいた。
トリはもちろん先輩格の小金沢。呼び込まれても姿が見えない。と、「おおい、こっちだ。」客席から登場するや、歓声と拍手の嵐が巻き起こり、握手を求めるファンが殺到する。一人一人手を伸ばして、あちらこちらと足を運び、客席との交流を終えるとやっとステージに上がってきた。3曲ばかりのメドレーをはさんで、トークもたっぷり。喜瀬とのやりとりでもひとり語りでも、沸かせたりしんみりさせたりと、客席の空気を自在に操る。「願・一条戻り橋」「あなたは雪になりました」をじっくり聞かせ、最後はロングセラーとなった「ありがとう...感謝」で締めくくったが、やはりベテランだけあって別格の味わいがあった。歌だけではない。演歌の現状を憂え、自分たちのなすべきことを見据え、若手を叱咤激励しながらも温かく見守る、大木のような存在が頼もしかった。
最後は全員で北島三郎の「まつり」を客席と共に大合唱。和やかな中にも限られた時間を存分に歌で酔わせてくれた5人に惜しみない拍手がよせられ、大盛況のうちにステージが終わった。
しかしまつりはまだ終わらない。会場エントランスロビーに出演歌手が勢ぞろいしての即売会が始まる。興奮冷めやらぬ観客にして見れば、たった今ステージの上にいた歌手たちがCDを手渡しながら、笑顔でサインや握手に応じてくれるのだから堪えられない。歌い手にとってもそれぞれが手応えを肌で感じられる貴重な時間だろう。みかん箱営業が当たり前だった演歌界にも、時代の波が押し寄せ、ファンと直に触れあう場面は昔ほど多くはない。ひととき交流に温かな空間を共有する歌い手と演歌ファンを見ているうちに、演歌ファンと歌い手の間には血が通っているとの思いを強くした。これこそが演歌を支えている根強い人気の源なのだろう。そしてそれは絶えることがないという確信を得た。
主催の玉光堂はじめ、キングレコード(株)、クラウン徳間ミュージック販売(株、)テイチクエンタテインメント(株)、(株)徳間ジャパンコミュニケーションズ、日本クラウン(株)、日本コロムビア(株)、星光堂(株)各社の協力、またSTVラジオ、HBCラジオの特別協力により、今年無事4回目を数えることができた玉光堂演歌まつり。こういう場を4年にわたって提供してきた玉光堂の功績は大きい上に、協力してきた各社や局のバックアップも大きな支えだと言える。演歌歌謡曲のジャンルにおいては特に、メディアの露出で認知度アップを図ることも大切だが、こうした地に足のついた草の根的な活動が、後に大きな成果をもたらすという役割を担っている点は否めない。是非今後も長く続けていって欲しいまつりである。
出演者の最新曲のご紹介
左から、杜このみ「三味線わたり鳥:2013年5月22日発売」/三山ひろし「男のうそ:2013年6月26日発売」
走裕介「北国街道・日本海:2013年2月20日発売」/竹島宏「北旅愁:2013年5月22日発売」
小金沢昇司「あなたは雪になりました:2013年8月21日発売」
(文:音楽ジャーナリスト 内記 章、写真・月刊TORA提供、:2013年11月11日)
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