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音楽処の10周年記念ライブ。縁のアーティスト達が大勢集結。5月21,23,24日の三日間、札幌クラップスホールを埋め尽くした観客とともに10周年を盛大に祝った。
一口に10年と言っても、店主石川千鶴子さんにとっては決して平坦な道のりではなかったはずだ。長年勤めあげた店から独立し、2004年5月27日狸小路2丁目に最初の店を構えた。2008年に今の4丁目プラザ7階に移転して、今では年間180本ものインストアライブを敢行する、客にもアーティストにも大事な音楽の拠点、まさに音楽処となったが、この間一貫して揺るがないのは、石川さんの音楽を愛し、アーティスト達の応援を惜しまない姿勢だ。武道館ライブを行うまでになった高橋優をはじめ、その人柄に魅せられ、公私に渡って親交を結ぶのはアーティストに限らず、広く音楽業界から馴染のお客さんまで後を絶たない。今や北海道の音楽業界のお袋さん的存在でもある。
そんな石川さんのために集まった20組のアーティスト達はメジャー、インディーズはおろか、演歌もあればロックもあるというジャンルを問わず混じる多彩ぶり。まさにパーティーにふさわしい顔ぶれとなった。
石川さん曰く音楽処の長女的存在のMIZは二日目に登場、稚内出身の兄弟ユニットSE−NOの弟マストシをサポートに伸びやかな歌声を響かせる。昨年結婚してしばらくぶりのライブとのことだったが、ブランクなど感じさせない堂々たる歌いっぷりだった。マストシのギターが良い音色を奏でている。SE−NOも音楽処とは親交の深いアーティストで、オトキタの名前を冠に抱いたコンピレーションアルバムにも参加しているが、兄のボーカルといい、弟の歌とギターといい、格段に成長の跡が伺えた。
三日目のトップバッターこおり健太はファンの振るペンライトと黄色い(?)歓声が飛び交う演歌の王道ステージ、マストシはここでもサポートに入り、松山千春の「大空と大地の中で」が披露された。音楽処が取り持つアーティストの交流の図も見て取れる。続くSE−NOのステージは活きのあった美しいハーモニーと色っぽささえ漂わせるようになったギターの音色が際立つ。テツヤ(月光グリーン)はキーボードのサポートをつけてのパフォーマンスで、あれ、いつもより静かかなと思いきや、オトキタコンピでもお馴染の「蛮勇根性」でぐわっと沸かせた。桜庭和はMCから観客わしづかみでCMでも耳馴染みの曲をはじめ中島みゆきの「糸」をカバーしてみせるなど、彼の最大の武器である声を存分に聞かせた。この他にもspeed salt、花沢耕太(シカゴプードル)千綿偉功ら総勢20組のアーティストがアニバーサリーのステージを飾った。
和やかな中にも時には熱く沸かせ、時にはじっくり聞かせながら、終始ステージの上からアーティスト達が石川さんとアイコンタクトしていたのが印象的だった。それぞれのアーティスト同士の交流も垣間見え、また各アーティストの成長ぶりを確認できるという場でもあった。なによりそれを嬉しそうに見守る石川さんの姿は、確かにお袋さんである。
節目の年を迎えた音楽処は、これからも走り続けるアーティスト達の背中を押してくれる心の故郷として、北海道だけでなく音楽業界の大切な場所としての役割を担っていくだろう。
(出演アーティスト)
Vol.0 5月21日(木)
・大森俊治・大石昌良・高野哲
Vol.1 5月23日(土)
・TAFUCA・MIZ/マストシ&マスジ(SE-NO)・speedsalt・Tomomi・N.U.
・ササキオサム・千綿偉功・ユメノツヅキ
Vol.2 5月24日(日)
・こおり健太・SE‐NO・テツヤ(月光グリーン)・桜庭和・猪狩翔一(tacica)
・ひまり・エバーグリーン・N.U.T.+TAKUMA・花沢耕太(シカゴプードル)
・千綿偉功
(文:音楽ジャーナリスト 内記 章 写真提供:音楽処)
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