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3月25日(火)のザ・ビーチ・ボーイズ(ニトリ文化ホール)を皮切りに、4月11日(金)ジェフ・ベック(ニトリ文化ホール)、4月13日(日)14日(月)ボブ・ディラン(ゼップサッポロ)、5月2日(金)TOTO(ニトリ文化ホール)と大物アーティストが続々来札。
いわゆるベテランとして60年代70年代のデビューから第一線で活躍してきた一流どころが、この春期せずして札幌を訪れるとは。ロックの神様も洒落たことをするものだ。
1961年のデビュー以来「サーフィンUSA」「カリフォルニアガールズ」などの大ヒット曲が、今でも幅広いファンを楽しませるザ・ビーチ・ボーイズ。曲名を知らなくとも、あの美しいコーラスを耳にすれば聞き覚えのある人はたくさんいることだろう。
そのザ・ビーチ・ボーイズのメンバー、ブライアン・ウィルソンとも縁の深いアーティストが次に登場する。エリック・クラプトンやジミー・ペイジとともに三大ギタリストの一人に数えられるジェフ・ベックだ。早々にチケット完売したというから、その人気ぶりは衰え知らずだが、卓越したギター・プレイを目の当たりにできる幸運は、うらやむべきものと言えるだろう。
また、本人の希望によりライブハウスでの公演が実現するボブ・ディラン。代表曲の「風に吹かれて」「ライク・ア・ローリングストーン」は言うに及ばず、2012年にアルバム「テンペスト」をリリースし、おそらくそこからの楽曲が中心のステージになるかもしれないが、72歳にして今尚世界のミュージック・シーンの表舞台を駆け巡るパワーは、誰しも驚きと尊敬を持って迎えるだろう。新旧取り混ぜての選曲も楽しみなら、詩人としても高い評価を受ける彼の歌を是非生で受け止めたいところだ。
しんがりは5月のTOTO。「アフリカ」「ロザーナ」「愛する君に」などのヒットにより、80年代ロック・シーンにおける象徴的役割を果たしている。彼らもデビュー35周年を数える大ベテランとなったが、いまだにそのサウンドにはゆるぎないものが感じられる。
今回のステージでもどんな味わいをとどけてくれるのか、今から楽しみである。
それぞれのキャリアや実力のほどは、十分知られているが、それを生で味わえる機会はそう多くない。2001年に札幌ドームが出来て以降でも海外アーティストの公演はボン・ジョヴィ、エリック・クラプトン、エアロスミス、イーグルス、ザ・ローリング・ストーンズ、ビリー・ジョエル、サイモン&ガーファンクルなど、すぐに思い出せるほど数が限られている。海を隔て、天候の影響も少なくない北海道まで移動することを考えると、来日アーティストもなかなか北海道までは来てくれないのが実情である。しかし道内にも根強いロック・ファンが海外アーティストのステージを心待ちにしている。また、世界のトップ・アーティストが放つパワーに触れるまたとないチャンスを、幅広い世代に体験してもらいたいとの想いが、招へいする側からもありありと感じられる。せっかくの来札を逃す手はない。往年のロックファンにも、ロックの本流を形成してきた一流アーティストによる王道を味わいたいむきにも、忙しくも心浮き立つロックな春がやってきた。
(文:音楽ジャーナリスト 内記 章:2014年3月28日)
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