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綾織綾音の連載コラム

綾織綾音

音の

千変万化

【第5回】なぜ純文学に惹かれてしまうのか

初めて純文学に触れたのは、ありきたりではあるが
国語の教科書だった。
授業が始まり教科書を捲る。

「羅生門/芥川龍之介」そう書かれた文学作品には、
おどろおどろしい内容が綴られていたのだ。

ーーーあらすじーーー

舞台は、荒廃しきった平安時代末期の京都、
雨が降り続く羅生門の下。
一人の下人が正しい道を進むか、
それとも悪事に手を染めるかという葛藤の中、
羅生門で雨宿りをしていた。

下人はふと羅生門の上層に人の気配を感じ、
恐る恐る上がっていくと、
そこには腐乱した死体の髪の毛を抜く老婆の姿が。
老婆は生計を立てるためカツラを作ろうと
死体から髪の毛を一本一本と抜いていたのだ。

下人は最初、老婆の行為に嫌悪感を抱くが、
老婆が「この死体も生きていた時、人をだまして生活していた」
と言い訳するのを聞き、ある決意をする。

下人は自らの倫理観を捨て去り、
「悪に生きる」ことを選んだ。
そして、老婆を突き飛ばして彼女が持っていた着物を奪い、
夜の闇へと姿を消していった。

ーーーーーーーーーーーー

生と死、善と悪、欲望と葛藤。
人間の奥底に秘められた感情が
包み隠さず赤裸々に描かれている。

衝撃を受けながらも、
ページを進めずにはいられない。
どことなく悪いことをしているような気にもなる。

人間のありのままの感情、時代背景、表現の美しさ
これら全てが詰まっている純文学作品。
薄っぺらな、上っ面の言葉などいらない。
そんなもの邪魔くさいだけだ。
感情のままに綴られた文字に心が揺さぶられる。
だから私は純文学が好きなのだ。

私は今日も心惹かれる純文学を探している。

綾織綾音「刺青」MV

ライブ予定

【綾織綾音 単独公演-肖像-】
日程 12/14(土)
時間 open12:30/start13:00
場所 学芸大学APIA40
出演 綾織綾音/Pf.伊藤僚馬/Dr.成希シゲキ
料金 adv 4,000円/door 4,500円(+1ドリンク)

独人 秘密の日記 -日録集-

M1「刺青」

M2「金属アレルギー」

M3「ドライアイ」

M4「蜘蛛の糸」

M5「幸せの奴隷」

M6「恥」

綾織綾音
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